挿絵を担当した本が出ます。「戦争のつくりかた」の新装版。

10年前の2004年5月、小泉総理の時代、着々と進みつつ合った有事関連法案、とりわけ国民保護法などの国会審議が進むことに危機感を感じた二十数名の人たちが、メールのやり取りを重ねてホッチキス綴じの簡素な冊子を作りました。それが最初の「戦争のつくりかた」。
その簡素な冊子版の噂が新聞や口コミで広がり、なんと3ヶ月で3万3千部も売れて、手発送では追いつかない規模だってんで、マガジンハウスから英訳や解説文加えて書籍化されたのが2004年7月。当時それだけ不安に感じていた人が多かったということだと思う。
10年かけてじわじわと、初版9万部を売り切ったんだって。増版はされず、絶版になってた。
ちなみに僕は文章が出来上がったあとに、急遽挿絵を担当することになりました。よく、著者の一人だと誤解されますが、文面には一切関わっていません。
その「10年前の本」が、このところやたらとSNSなんかでシェアされだした。10年前に書かれたことが、一つ一つ実現されているんじゃないのか。不安に感じる人がまた、増えてる。そりゃそうだよね、選挙で圧倒的指示を得たリーダーたちが、10年前には言いにくかったようなことを堂々と言って、ずいぶん露骨で強引な手法まで使って、ここぞとばかりに日本の姿勢を変えにかかっているように見える。アホな僕の目にもそう見える。もちろん選挙であれだけの大勝したのだから、こうなることは当然っちゃあ当然なんだけど。
今、この時代にあの本が書店で買えないのは、残念だ、という意見がほうぼうから出たりして、じゃあどんな形で再び世に出すことができる?新しい要素を加える意味があるのか?春くらいからさまざまなやりとりを経て、いろいろ考えて、新しい「戦争のつくりかた」をつくりました。

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まだ絵は公開できないのでラフです。ここに写ってるのはほぼ全部不採用!

新装版がマガジンハウスから出版され、9月11日に全国の書店の店頭に並びます。
7、8月とずっと、ヒーヒー言いながらこの絵本の絵を描き直してました。
絵は、13枚全部変わります。
絵が変わったことで、少し見やすくなってると思う。10年前、急に描くことになって大慌てで描いた、ちょっと稚拙で恥ずかしかった絵は、胸張って「見てください」と言える絵になったよ。
じっくりガッツリ取り組みました。
救いようのない戦争のドキュメンタリー見たりして、ニンゲンとはなんぞや、戦争とはなんぞやと、浅はかな僕なりにも考えたりして。アクト・オブ・キリングとか、ゆきゆきて神軍とか見て思ったのは、ニンゲンというやつ(特にオス、もちろん僕も)は状況が整えば思ってるよりすんなりと殺しあうのだろうな、ということ。だからこそ、それをどうにかして避けるために、徹底したコミュニケーションだったり、疑問を感じて学び続けることが必要。逆の意見ももちろん聞いてみたくて、集団的自衛権やむなしと言うモーリー・ロバートソンのネットラジオ(スゲー面白いのだ)聞いたりとか。
とにかく、どうしたら読む人に、政治って自分のことなんだと伝わるかなあと考えた。集団的自衛権とか、秘密保護法とか、個々のイシューの問題じゃなくて、有権者一人ひとりの主体性。この本に限らず、今までもこれからも自分のテーマの一つであり続けるでしょう。
新装版、絵本の本文の内容は10年前といっさい変わりません。
この文章が「10年前に作られたものだ」という事実をそのまま伝えるために。
新たに追加された巻末の資料がすごい。この10年間でどんなことが起きてきたのか、僕らの知らなかった法律や出来事がたくさんたくさんたくさんたくさん、見やすく列挙されていて、今回の新装版のキモになります。巻末資料は前回の3倍のボリュームに。それでもすごく見やすく工夫されてる。淡々と並ぶそれらを見ると、恐ろしくなります。
前回は書籍になる前にホッチキス綴じの簡易版が素人の手発送で3万3千部も売れて新聞とかでも取り上げられて、ひとつのムーブメントになっていたので、出版社は初版9万部なんてとんでもない数をぶちあげたようだけど、今回は初版は数千部の規模らしいです。10年間でネットが身近になったり、電子化が進んだり、本を取り巻く環境も激変してる。
ベラボーに大きな規模じゃないので、1冊ずつ売れることが反響になります。是非本屋で立ち読みしてみて、グッときたら買ってください。
10年経ったのに、今まだこの本が必要とされていることはやっぱり悲しいし、日本の政治を作っている主権者の一人として、なんだか虚しくて情けない気持ちもある。
10年経って、僕は小学生を育てる親になっています。
「あれは良い」「これは悪い」「戦争はダメ」とか答えを一方的に教えるんじゃなく、自分で感じて注意深く多面的に考えて動く、そういう能動性・主体性をどう育てていくかだよなと、常々思います。「なんでダメなの?」という疑問を感じて、答えを自分なりに考える。遠回りかもしれないけど、それを大事にしないと平和なんか来ないと、僕は思う。
●「戦争のつくりかた」サイト
http://sentsuku.jimdo.com/
※このサイト上で絵本部分の全文が読めますが、個々で使われている挿絵は一番最初の簡素な冊子版の挿絵です。書籍版は絵も立派になるし、何より巻末の資料がすごいので、9月に店頭に並んだら、是非そちらを見てみて下さいね。
●新・戦争のつくりかたAmazonでも買えます。
Amazonのページには詩人のアーサー・ビナード氏による帯文も掲載!
●毎日新聞がさっそく新装版の出版について取り上げてくれました。
http://mainichi.jp/select/news/20140814k0000e04021…
あー、重たい本の話でしたが、8月9月と面白くい企画も控えてます、来週末は逗子平和デーで議事録ライブペイント、浦安のお祭りでフェイスペイント、8月末は近所の落合公園でフェイスペイント、9月は「セシオン杉並」というホールで子どもたちの絵と混ぜこぜになった10mの絵!!!!!明日にでも詳しく告知したいな。今日はこのへんで、ではまた!
8/20追記:
「新・戦争のつくりかた」発売日が9/11に決定です。文中の「9月のなかば頃に」を「9月11日に」に変更しました。
9/4追記:
Amazonの販売ページのリンクを加えました