いきものマップを作るワークショップをやっています

去年から、いきものマップを作るというワークショップを何ヶ所かで開催しています。これがちょっと面白いので、2023年時点での状況を報告しておきます。いろいろなところでやっていくことになるかもなー。場所と人と季節の経過と生き物が関わる企画。


そもそものきっかけは2020年の秋に千葉県の手賀沼で自然観察と屋外のアクティビティがセットになったイベントてがぬまこどもマルシェに参加するにあたって企画したのが始まり。あらかじめ、僕が2〜3mほどの大きな紙に会場の地図を描いておき、参加者が当日そこで生き物を探し、見つけた生き物の絵を地図に描き入れます。地図のなかの、実際に生き物がいた地点にその生き物の絵を描くことで、例えばこの茂みにはバッタがいたとか、ここの岩陰にはカエルがいたとか、極々ローカルな小さな範囲の中でどういう生き物がどこにいたというのが視覚的に伝わる仕組み。

2020年てがぬまこどもマルシェで初めて作ったいきものマップ。当時はカードではなく絵地図に直接絵の具で描き込んでいた。ライブペイント的な勢いが感じられて良いね。

初めてやってみてわかったのは、絵をしっかり書きたい子は鉛筆で下書きもしたいし間違えたら消したいし、ゼロからやり直したいこともあるので、取り換えがきかない絵地図に直接描かせるのはかなりのプレッシャー。小さいカードをたくさん用意してそれに描いてもらい、絵の余白を切り、地図上の見つけた地点に描いた生き物カードを貼ってもらう形が良いなと思いました。その際に分かる範囲で良いので生き物の名前を書くことにする。乳幼児さんの何が描いてあるかわからないモジャモジャな絵でも「ちょうちょ」と文字が書いてあれば「ああそこにちょうちょがいたのね」と伝わる。

あと、虫を捕まえたくて参加する人と、絵を描きたくて参加する人が必ずしも一致しないということ。僕がたまたま両方好きなので面白いだろうと企画しましたが「虫は好きだけど絵を描くのは嫌い」「絵は好きだけど虫は苦手」という人が当前います。なので、自分で捕まえてきた生き物を描こう、だとハードルが高く、両方しっかりやらなくてもすむような感じで参加へのハードルをゆるめにすることが大事だなと。生き物か絵のどっちかが好きならなんとなく参加できちゃって、そのうち苦手意識を持っていたほうにも関心がわく、というのが理想的。絵を描くのは好きだったけど、なんか生き物もちょっと面白いなと思った、というふうに。

ちびっこのぐじゃぐじゃの線の絵でも横に「とんぼ」と書いてあればそこにとんぼがいたということなのです!

もう一つ感じたのが、生き物担当者がいると心強いということ。手賀沼では生き物大好きな小学生があちこちからいろいろな虫を捕まえてきて教えてくれたのでとても助かったけど、彼がいなかったら大変だったろうなと。

そのあたりの気づきを活かして調整し、どこかで第二弾をやってみたいなと思っていたら、11年ほどお世話になっている大規模マンションで居住者のお子さん向けのイベントを企画する会社デザインショップまちや様からオファーがあり、生き物担当者として「千葉の昆虫図鑑」という本を出されている詩人でネイチャーガイドの大島健夫さんを呼んでのいきものマップ作りが2022年秋に実現。大島さんと子どもたちが大規模マンションの敷地内を探検しながら生き物探しツアーをして、その後にカードに印象に残った生き物の絵を描いて貼る、という形。大島さんは色々な虫を見つけては子どもたちに紹介してくれて、子どもたちが見つけたよくわからない虫も瞬時に詳しい名前を教えてくれて、マンションの敷地内にこれだけの生き物がいるのかと驚く多様な生き物絵地図が完成しました。同じ綱島のマンションで翌2022年の5月にも開催。秋と春ではもちろん見られる生き物がぜんぜん変わる。鳥の巣の跡が見つかったりしてみんなびっくり。

また、今年の5月からは、僕の家の近くの雑司が谷公園で月に一度開催されている外遊びの会「ぞうしがやプレーパーク」で、春夏秋と継続してカードを追加していく生き物絵地図作りも展開。同じ一枚の絵地図に、カードに生き物を見つけた日の日付けを入れることで、5月にはこんな生き物がいた、6月にはここにこんな色の紫陽花が咲いていた、7月にはセミが、などということがよくわかります。プレーパークにも生き物に詳しいスタッフや、その知り合いの生き物好きな人が集まってくれて、参加している虫好きのちびっこたちとの年齢を越えた生き物好き人間どうしの交流が自然発生し、見ていて面白いです。こちら(↓)は5月にぞうしがやプレーパークで開催した際の井上のインスタグラムでの報告。動画もあり。

 
 
 
 
 
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9月には、東村山中央公園でも同様の観察会&いきものマップ作りを実施。聞いたことのない名前の虫をじっくり観察できたり、その虫の生態を教えていただけたり、樹木名の表示版の裏によく虫がいる等々の生き物の見つけ方のコツを知れたり、外来種のお話も出てきたりと、充実した時間となりました。

東村山中央公園の広大な樹林の一部を探索して作ったマップ。

どんぐりたくさん落ちてたね。蚊がかわいい。

ザトウムシという、聞き慣れない名前の不思議な虫が見つかって子どもたちに大人気。栗のいががたくさん落ちている一角もあった。

なんとコクワガタの頭だけが落ちているのも見つかり、大島さんから「きっと鳥が食べたんだね、お腹だけ食べて頭は美味しくないから落とすんだよ」と教えていただく。よく見ると右に小さく鳥も描いてある!親子探索に参加したお父さんが描いてくれた。

ここにはこういう生き物たちがいるんだなという気付きに繋がり、参加したことで後日その場所を歩く際に視点が変わる、との感想が嬉しかった。

工作にまつわるいろいろなワークショップを企画運営しています。お気軽にお問い合わせください。

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