ありがたいことになんだかんだ秋が忙しくなりまして、夏の振り返りの記事をアップするのが12月になってしまった!
とにかく今年コロナな状況にあって、それでも工夫して乗り切った事案として、報告しておきたかったので、だいぶ経っちゃいましたが動画と写真で報告します。
8月22日(土)23日(日)の埼玉県富士見市民文化会館キラリ☆ふじみの全館を使って開催したサーカスバザールという大きなイベントの中で、アトリエと廊下の大きなガラス壁面(全長30m以上!)にたくさんのお客さんと絵を描くワークショップをやってきました。
サーカスバザールに関わるのは今年で5年目。例年は、大きな部屋に10m☓10mほどの大きなシートを敷いて、そこに材料と道具をたくさん並べておいて、簡単な工作の作りかたを大きく描いて示した2mくらいの紙を壁に貼って、親子で自由に作って遊ぼう、というざっくりした工作の場を提供していました。おかげさまでなかなかの人気で、毎日入れ替わりで少なくとも100人以上(数えられない)がワイワイとなにかを作っていたのですが、新型コロナウィルス的な観点からいくと、ピーク時の密集度はなかなかのもので、道具も使い回すし、いったん「今回は工作は中止に」という話に。
文化ホールの企画なので準備は早くて、例年は年明けくらいから打ち合わせて、春くらいにはいろいろ決まっていくのですが、今年は春の時点で先行きが全く見えない状況で、ウィルスの特性も付き合い方も、ましてやイベント実施における対策なんてまだまだよくわからない段階。3月4月5月で、この春夏に僕が参加する事になっていたイベントは全部無くなりました。実は今年、新しい現場のウキウキする企画も増えてたりしてて、今年は忙しくなるぞーと意気込んでいたので本当にしょんぼり。
そんななか6月あたまくらいの段階で、サーカスバザールはなんとか8月末に開催する方向で模索しているという話を聞き、では、普段の工作は無理でも、あのキラリ☆ふじみの大きなガラスを使って、人数を制限して時間制の交代にして、距離をあけて、盛大なお絵かきワークショップができないかと、かなり細かい方法(フェイスペイントで実践してる予約券を流用して時間予約制にして、1回につき何人までで、何分で交代で、全体で何人に対応できて、必要な材料はこれとこれ、みたいな)をメールで送って打診したら、検討してくれて、それやりましょうということに!やったー!!!!
とにかく、全部のイベントが無くなってる中で、この夏になにか面白いことができそうだと決まったことが、すごくすごく嬉しかった。この時期のメールのやりとりは今見返しても涙出そう。
事前に会場に行った際に、毎年お世話になっている文化ホールのスタッフさんとコロナな状況下での開催についてのお話を聞けて、ぐっと来た。文化ホールの役割は文化を届けることで、演者があってこそな部分もある。自粛期間で閉館していた時期もあったが、いま開館している以上、その文化を届ける&演者に場を提供する役目をはたせるように、できる工夫をやるだけやって開催する、というような内容。淡々と話されるけど意思を感じた。舞台には大勢が関わる。演者も、舞台美術さんとか照明さんとか音響さんとか場を作っている裏方も、文化ホールスタッフさんたちも、みんなそれぞれ今自分ができることはなんだという自問もあり、自分にしかできないことがあるという自負もある。
感染対策をしつつ、文化会館としての役割を果たすために一歩でも状況を進める。検温・マスク・連絡先の明記、館内での食事を禁止にしたり、食べ物の屋台や密になる企画を無しにしたり、座席を前後左右あけるための表示を座席につけたり、ホールの観覧チケットはスタッフではなくお客さん本人が切るようにとか、例年通りの開催ではないけど、それでもできることを考えて、やる。一歩進める。
秋くらいからぼちぼち催しも再開してきたけど、この頃はまだ手探りで工夫していた感じ。その姿勢にとても励まされたし、今年でしかできないような特別なことやっちゃいたいよねと思って僕も頑張りました。
初日はアトリエという名前の、円筒形の大きな部屋のガラス面に描きました。こどもの手の届かない高い位置には、準備の日に空中ブランコやピエロを事前に描いておきました。アトリエ内にいられるのは10人(付添の大人も数に入れる)まで。両開きの大きな扉が二箇所あるので、換気のためあけっぱなしに。工場用の大きな扇風機二台を出入り口に向けて回して換気。一枚のガラスの幅が2mほどなので、ガラス一枚につき一人、ないし一家族がつくことで互いの距離を保つ。入退場時に消毒。キットパス(ガラスに描いて消せるクレヨン)は10セット用意しており、参加者一人につき一つ、使い回さない。入れ替え時にアルコールウェットティッシュでキットパスを拭く。等の対策をして、1回10人25分を1日に10回開催。
一日最大100人が参加できる計算。例年の参加人数から考えると足りないくらいだけど、来場者自体も例年ほど多くなかったため、結果的にちょうど良いくらいの規模だった。
使用した画材は、ガラスに絵を描いて消せるクレヨン、キットパスです。事前に製造元の日本理化学工業株式会社様に「こういうワークショップをするのでチラシを置きたいのですが」とメールをしたらすぐにチラシを送って下さいました。ありがとうございます。ワークショップに参加した親御さんに、「このクレヨンはなんなのか」と必ず聞かれるだろうと思ったので、チラシが置けて、たくさん手渡せて助かった。するするとなめらかな描きあじで、消すのも雑巾水拭きで拭くだけでびっくりするくらいつるりと消えます。もちろん家で使うのにもオススメ。Amazonで12色入り800円くらいで売ってますよ。
ワークショップ開始時には、参加の子どもたちに、「今日のクレヨンはガラスに描いても消せる特別なものです。おうちにある普通のクレヨンでガラスに描いたら消えないからだめだよ。今日だけ特別ですよ」と必ず言ってわかったか確認してからスタートしました。
演者のかたや、運営スタッフさんも拭くのを手伝ってくれて、1時間ほどで復旧作業が終了!中でも、出演ミュージシャンのかたたちの一人がなんと窓拭きのお仕事もされているかたで、ステージ終了後にツナギ姿でプロの道具を持って参上してくださり、復旧作業の段取りにも的確なアドバイスをいただけたおかげですんなり終えられました。大変勉強になりました。
7月8月、繁華街から第二波なのか、とか騒がれたりしている中で、果たして開催されるの?資材買っちゃって大丈夫?お客さんは来るの?来すぎたらそれはそれでどうなの?考えているシステムで現場は回るの?そうまでしてやらなくてはならないこと?是非おいでって告知していいものなの?などなど、迷いが無かったわけじゃないのですが、それでもきっとうまくいくし、やる意味もあると思ったし、いざ準備で現場に行ったら、なにしろ8月末にして今年最初のイベント現場仕事、皆がそれぞれ自分の専門分野で当日の準備をしている感じが嬉しくて嬉しくて、精一杯自分ができる準備をして、当日を迎えた。
当日は、サーカスバザールそのものを前から楽しみにしてきたコアなお客さんの率が高いなと感じました。二日間で160人ほどの親子が参加して、30mほどのガラス面は絵の壁に。いっぱい描いている子どもたちを見て、だんだん埋まっていくガラス面を見て、描かれている一つ一つの絵を見て、「夏休みには思い出が無くちゃ!」と強く思った。思い切って提案して良かった、やって良かった。
今年だからこそできた企画、参加した子たちには夏の思い出のひとつになったかな。
※多めに買っていたキットパスが残っている&ノウハウもできたので、ここまでの規模でなくても、こういうお絵かきワークショップがわりと安価に開催できますよ。ガラス面がある建物で是非!鏡に描いても楽しいよ。お気軽にお問い合わせ下さい。
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