続きまして今年の夏の振り返り、その三。子ども向けの工作教室を、どんなことを考えながら企画しているか、ちょっと裏側も披露しつつ、大人が企画した想定を参加した子どもたちが軽々と越えていく当日の模様まで、かいつまんで報告です。
お世話になっている大規模マンション内のコミュニティ形成をデザインする会社デザインショップまちやさんの紹介で、夏と冬に関東近郊の大きなマンションで住民の皆さん向けの工作教室的なことをさせていただいています。今回は7月末に都内の大きなマンションで行なったものの紹介。
夏前に、小学校の夏休みの自由工作に使えそうなワークショップ、なにかできない?との相談。夏といえばプール、プールのジオラマを作って遊んじゃうのはどうでしょうという感じで、とりあえずのたたき台として思いつくままラフイメージ書いて送りました。
実際作ってみると、水面のセロファンから透ける多層な感じが面白い!
ただ、このままだとみんな同じ見本どおりのプールを作って、同じようなものを同じ小学校に宿題として持っていくのはいかがなものか。なにより子どもたちの主体性というかもうちょっと自発的・想像力・作りたいように作らせたいよなあと思って、やりとりしていたら、「こんなプールあったらいいな」という言葉がやりとりのなかから出てきて、ああそれ!それが間違いないです、その方向で掘り下げましょうとゴリ押しして、それで試作してみることに。
「蛇口からジュースが出たらいいのに」とか、誰でも思ったでしょ、それを考え始めると面白かったでしょ。
で、僕の企画者としての利点は現役小学生の息子達がいることで、実際に作らせてみたら思いのほかのめり込んでいたのでこれはいいなと。ちなみに普段お絵かきも工作もほとんどしません、飛び回って激しく遊ぶ派。そういう工作しない息子らでものめり込んだのは企画として良い兆候。
「こんなプール」は実例をいくつも出すとそれに似たものが増えそうなので、「楽しいプール」「かわいいプール」「かっこいいプール」「怖いプール」などなど形容詞で例をあげるのが良さそうだなと考えたり。
そんなこんなで、このイラストを流用してきれいにデザインされた告知チラシ(マンション個別の情報が入るのでここでは掲載しません)で宣伝してもらったり、事前に作例を作ってマンションに設置してもらったり、あれこれやって当日に至ります。
いざ開催!参加してくれた子どもたちと、まずは土台のプールを牛乳パックなどで作る。この部分は共通のしくみで、牛乳パックの一面を切りとってプールにして、画用紙を切って貼ってプールサイドに。これで共通の工作部分はおしまい。かんたん。「さあお楽しみの装飾の時間だよどんなプール作るか決めてきた?」と聞いたら、返事無し。シーン。なんと全員ノープランで来てた!
いやどうしよう。じゃあまずはプールに水をはろう。透明のシートをプールの水面に見立ててテープでつける。そしてきみのプールの水の色を決めよう。水の色が決まればプールの方向が決まってくるんじゃないかと思ってのとっさの提案が功を奏し、そこから自分のプールをどんなプールにするのかがどんどん決まっていった。そして、コンセプトが決まったらその先は僕が関わる余地が全くないくらい、90分ほど黙々と、集中して作り続けてました。イタズラ盛りの小学生低学年男子ばかりだったのですが、部屋の中がシーンとしていて静寂。親御さんに相談とかもぜんぜんせず、ひたすら作っている姿はまぶしかった。
やることが思いつかないとか、連れてこられちゃった感じでいまいち乗り気じゃない子とかに押したり引いたりしながらあれこれスイッチを探すのが、ワークショップでの自分の役目かなといつも思ってるのですが、この日は途中からまったくその必要がなくなった。会場が、完成してまだ年月がそれほど経っていないマンションで、参加者(住人)同士がそれほど顔見知りじゃなかったり、参加人数も多すぎず、緊張感もあってちょうど良かったというのもあるかも。あとはきっと面白かったのだ、企画者としてはそう思いたい。
以下、できたプールを少しだけ紹介します。画像クリック(タップ)で拡大表示できますよ。
最後にみんなが作ったプールとおすすめポイントを発表してもらって終了。「大きくなったら是非こんなプール作ってください、僕遊びに行きますから」と伝えておきました。いつか夢が叶うかなー、ふふふ。
今回は本当にみんな没頭してて、いい企画になりました。場所、人数、年齢、目的等々の条件をかんがみながら、その場に合ったワークショップが提案できたらなと思ってやっています。なにかございましたらば、お気軽にご相談下さいませ。一回きりのイベントが多くてそれもいいけど、平日日中決まった曜日とかで定期的に工作に関われたりすると、やれることの幅も広がるし自分の経験にも繋がるし仕事としてもありがたいかもなあ。
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