保育士・幼稚園教諭を目指す学生さんたちと8×8mの布に絵を描きました

 

新年あけてしまいましたが、去年の9月のお仕事の報告です。
去年の特に下半期は、新型コロナ状況下でも工夫しながら開催したワークショップが幾つもありまして、これはその一つ。こんなふうに知恵を絞ってやってきたよというレポートを良かったら御覧ください。

今回のご依頼は、千葉県市川市にある東京経営短期大学のこども教育学科の先生から。
保育士・幼稚園教諭を目指す学生さんたちが学ぶ学科です。新型コロナのせいで学生さんたちの授業がほぼオンラインになってしまい、教える側としても歯がゆい思いをしているとのこと。

本来は、机の上の勉強だけでなく、地域の子どもを招く催しを学生さんが企画運営したりとか、図工や身体の使い方など実技的な授業があったりとか、もちろん現場での実習もありますし、やってみることで学ぶ部分が多い学科なのだそう。それがコロナで、図工もPC画面越しのオンラインになり、画面におさまる小さなものしか作れてないとのこと。

で、夏休みの課外授業的な形で、大きな絵を描くワークショップができないかと。人数を小分けにして距離をとり、実施回数を増やし、物の共有はしないなどの感染対策を考え、一度に全員で作るのではないけども、みんなで一つのものを共同で作れないか、とのご相談。具体的には、地域の子どもを招いて遊ぶ実習をする広い中庭があり、そこで日除けや装飾に使えそうな、大きなフラッグに絵を描きたいとの話でした。

僕に画家として絵を描いて欲しいというご依頼ではなく、僕の役目は学生さんたちが描く作業の進行役兼監督みたいな感じ。ただし、絵を学ぶ学科、というわけではないし開催までの日程もかなり限られていたので、おおまかな絵や進め方の内容は僕から提案して先生と決めることに。保育の現場では、学生さんが作ったことがないような大きな創作物(運動会や劇の背景など)を作ることも多いので、そういう大きな絵を描く体験をするという目的も。それから、保育の現場でよく使う手形を活用してほしい。という感じのご要望。かつ、短大側の感染防止のガイドライン的なものを聞き、可能な日数やスペースなどを聞き、こんな感じでどうでしょう、と提案してみたのが以下のイラスト。

2時間のワークショップを6回開催します。図の周囲の数字は、○回目に描く人物、という意味。1回につき、約8人が参加。二人一組になり、一人が寝転んで一人がチョークで実物大の人の輪郭を描きます。輪郭を描き終えたら、二人のうち一人が輪郭の中身を絵の具で塗り、もうひとりは中央の太陽や全体に広がる手形やステンシルをします。途中休憩を挟んで、人物を塗る役と手形&ステンシルの役を交代。

一回につき、一辺に一人ずつの人物を描くので、距離は保たれます。1回目、2回目、3回目と回を重ねるごとに、周囲の人物の絵が増えていきます。6回で一辺に6人の人物像、計24人が取り囲む絵になります。このかたちでやりましょうということに。

 

これが実際のフラッグ。こんな大きな布が売ってるわけもなく、短大の先生がロール状の布を買ってミシンで縫い合わせてくれました。でかい!左上に座ってるのが僕です。

 

1回目開始!まずは二人一組になって、一人が寝て、一人が輪郭線を書きます。この時だけ共同作業なのでマスクに加えてフェイスシールドを着用。9月のあたまで、熱中症の危険もあり、フェイスシールドは最小限に。

 

チョークを手で持つと、描く人と寝転んでいる人との距離が縮まってしまうだろうと考え、家にあった竹と百均のチョークホルダーを使ってこんなのを作ってみた。これで立ったまま描ける。距離がいくらか離れる。

 

人物の輪郭線を描き終えたら、二人組のうち一人が人物を描き、もう一人は手形を押す作業に。途中休憩を挟んで二人の役割を交代。8人が距離をとって作業します。

 

最初にふちどりした輪郭線に沿って人物を描いていきます。性別も年齢も服の色もお好きにどうぞ。

 

服に模様が入ると楽しいですね。りんごを持ってるのも面白い。

 

午前開催の一回目が終了し、午後に二組目のメンバーで2回目がスタート。

 

1回目で描かれた人物の隣に次の人物の輪郭線をチョーク(竹の先端についてる)で描いていきます。

 

二回目の中盤。各辺の二人目の人物が塗られています。中央の手形や丸や四角のステンシルも少しずつ増えてきた。

 

翌日の午前、3組目のメンバーで3回目がスタート、人物の輪郭線を描いているところ。

 

カラフルな手形も増えてきました。丸や四角も色を重ねてカラフルに。

 

この日はオープンキャンパスの日で、訪れた高校生や親御さんにもここで何をしているかが伝わるように、このような説明書きを学科の先生が書いてくれていました。説明に情熱が詰まってる。(画像クリックで拡大)

 

午後に4回目がスタート。手形がだいぶ全体に広がってきました。手形は光が外に広がるイメージ。

 

絵の技術や絵の具の経験値もそれぞれ違います。基本的な色を紙皿に出しておいて、他の色が使いたい人は自由に混ぜて必要な色を紙皿に作って使ってもらいました。わからないことはその都度相談してやってみる。

 

道具の共有が好ましくないとのことで、太いハケ、細めのハケ、平筆、丸細筆を各8本用意して、それぞれにAからHまでの文字を書き、あなたはAのハケや筆を、あなたはBを、という仕組みで共有を防止。共有が避けられないものはその都度消毒。

 

植物の芽のステンシル。切り抜いた画用紙に、絵の具をつけたスポンジでポンポンとたたいて色をつけます。これも保育の現場でやるであろう技法。

 

4回目終了時の二階廊下からの写真。各辺に4人の人物が並び、だいぶにぎやかになってきました。隙間にあと2人ずつ入ります。

 

5組目のメンバーで5回目がスタート。

 

5回目の途中。連日暑かったなー。

 

最後の6組目のメンバーで6回目がスタート。残っている隙間に寝転がって輪郭を描いているところ。

 

6回目の中盤。人物の輪が周囲を囲むように繋がってきた。

 

最終日は登校日でもあったので、学科の二年生にも手形だけ押してもらったりして、ついに完成!

 

今後も使用するフラッグですし、文字はきちんと書いたほうが良かろうという話になり、僕が書き入れました。

 

顔の書きかたも人それぞれでバリエーション豊か。

 

雲のTシャツが爽快!

 

朝焼けか星雲のようなきれいなワンピース!

 

手形も丸や四角のステンシルもきれいに散りばめられました。中央から周囲に光が広がるイメージ。

 

謎の美女と、その美女に熱い視線を送る青年と、その隣には謎の半裸のおしゃれな人。ちょんまげの先は地球ですって。

さすが保育士・幼稚園教諭を目指す子たち、明るく楽しい子が多かったなーと思いました。大変な年になってるけど、なんとかくじけずに、良い先生になってほしい。僕にも子どもがいて、保育園に預けてて、先生たちには本当にお世話になっているんですよという話を、毎回挨拶でしました。素晴らしい仕事、社会のためにも無くてはならない仕事です。関われて光栄でした。

 

コロナ関連の制約がなかなか多い中で、あれこれ知恵を絞って作っていくことになりましたが、良い関わりかたが出来たのではないかなと思います。

画家として、自分の作品をどーんと大きく描くことも楽しいですが、近年はこのような、学生さんたちや子どもたちが描くのをサポートするというお仕事もあれこれやらせていただいています。

子どもにのびのび描かせる・主体性を尊重することに主軸をおけば(一過性のイベントのお絵かき大会とか)、絵としての完成度やまとまりは無いけど満足度は高くなるし、逆にある程度きれいに完成させて残さなければならない場合(今回のフラッグとか、店の看板とか壁画とか)は僕がどのくらい介入・導く必要があるのか、どういう形での関わり方がいいのか、などを考えます。「のびのび自由」と「きれいな完成度」は0か100ではなくて、それぞれ現場によってバランスが違います。参加者の年齢や、企画の目的や、かけられる時間、使える画材、予算等々で、なにをしたら面白くなりそうかはまったくケースバイケース、その場に合ったものを考えます。お気軽にお問い合わせくださいませ。

以下は完成時に撮った2分ほどの動画です。ぐるっと絵の上を歩きながら撮ってます。午前午後に一回ずつ3日間で計6回のワークショップ、準備に一日、仕上げに一日、5日間通いました。東京経営短期大学職員のみなさまがた、大変大変お世話になりました!ありがとうございました!楽しかったです!

2020年9月、保育士・幼稚園教諭を目指す学生さんたちと8×8mの布に絵を描きました。

 

絵の製作から約一ヶ月後に、フラッグのお披露目セレモニーが開催されるというので観に行ってきました。ダンサーさんたちのパフォーマンス、くらいにしか詳しい内容はぜーんぜん聞いてなくて、到着したら学生さんたちが緊張しているので、おお、学生さんも交えたパフォーマンスなんだと思って見てたら、プロのコンテンポラリーダンサー7名に生演奏と演出さんや衣装さんや音響さんや動画撮影さんがしっかりついた立派なパフォーマンスでした。

セレモニーの途中の様子。幕の中に人が入ったり、空気を入れたり。布が生き物みたいにふわっと動く!

コロナでリアルのライブとか舞台とか観に行けてない中、思いがけずダンサーさんたちの動きに遭遇できて大変嬉しい。幕を使った動きがあったり、色をテーマにした一幕があったり、保育の現場での子どもたちの遊びを意識したような身体の動きがあったり、このために作られた演目。 幕づくりの際に僕を呼んでくれた石川先生ご自身がもともとダンサーだったそうで、コロナな状況下でも学生さん達への学びをとめないぞ、できないことばかりに文句言うのではなく今できることを考えてやるんだ、という熱意を感じました。

パフォーマンス終盤の様子。幕は壁に掛けられ立ち上がり、学生さんたちが電車ごっこのように何本かの列になって、先導するダンサーのそれぞれの動きを模して動いたりしてて面白かった。

 

ダンサーさんたち、普段は海外で活躍されてるかたとか、大学で先生をされてるかたとか、コロナじゃなかったら呼べなかったようなかたたちなのだそう。良い体験だなー。

音楽は、ベース(とギターと歌と鳴り物とipad)と和太鼓(と篠笛)の二人。インプロからメロディーまで様々に。とても気持ちよくて、ゆらゆら揺れながら聞いてました。

あの絵がこんな使われ方をするとは!驚き!嬉しい!

 

 

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